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2009/06/15 (Mon) あなたまでの距離

ひさびさの妄想話カテゴリ。
だらだら長いので、お暇な方だけどうぞ。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

パリは素敵な街だ。

ノルマンの首都、パリに足を踏み入れる度にラヴィはそう思う。
少し前までは、経験豊富な冒険者から話を聞いたり、本で読んで想像するだけだったあこがれの街。
それが月道が開放されて、隣町に行くくらいの気軽さで出かけることが出来るようになったとき、ラヴィは大喜びしたものだ。

美しいお菓子や料理。どこか小洒落た表通り。
軽やかな足取りのおめかしした男女。街角のオープンカフェ。
祖国のイギリスにだって、同じものはあったけれど、パリはどことなく、少女の気持ちを浮き立たせる華やかさがあった。

でも、今日が今までのパリの中で一番素敵ですわ。
浮き立つ気持ちでそう考えて、ラヴィは隣を歩く人をそっと見上げてみた。
それに目ざとく気付いた彼が、ん?と問い返すように見つめ返してくる。
「あ、あの、何でもありません…」
俯いて小さな声で答えたら、返事の代わりにぎゅっと手を握られた。
耳が隠れていてよかった、とラヴィは思う。小さな頭を覆ったお気に入りの綺麗な布頭巾の中で、ラヴィの耳はきっと真っ赤になってしまっているだろう。
そう、今日はパリで大好きな彼とデートなのだ。

キャメロットではいつ誰に出くわすか分からないから、彼と手を繋ぐなんてことはとても出来ない。
彼はいつでもどこでも繋ぎたがるけれど、もし通っている教会の司祭様や、顔見知りの冒険者に見られてしまったら。ラヴィはどんな顔をすれば分からなくて、きっとその場を逃げ出してしまうだろう。
だから、余程夜が遅い時間とか、人の少ない場所でしか、彼とは手を繋げない。

でも、今日は違う。

パリなら顔見知りに会う心配もない。だから、彼が手を握ってきてもいつもみたいに断らなかった。そのときの彼の嬉しそうな顔といったら。
パリの人々はキャメロットの人々より少し大胆で、仲睦まじそうなカップルがそこかしこで楽しそうに手を繋ぎ、時には腰に手を回し合ったりして、ピッタリくっついて歩いている。
自分と彼も、今まさに、あの人たちのようにして歩いている。
旅先だから、自分も大胆な気持ちになっているのだろうか。
そう思うと、ラヴィは恥ずかしくて、今度は前にも横にも顔を向けられなくなった。

そういえば、今日は何処に泊まるのだろう。月道で帰れるから日帰り?
ジャパンに行ったときは手違いで同じ部屋に泊まることになってしまって、彼は夜中じゅう寝返りばかり打っていた。
(人と同じ部屋では寝られないタイプなのでしょうか?)
繋いだ手に意識がいかないように、努力して違うことを考えながら、ただひたすらパリの乾いた石畳と、自分の足を見ながら歩く。

目の端に映る、隣を歩く彼の歩幅は大きくて、それに比べると自分の歩き方はちょこちょこと小忙しい。

小さな子がお父さんと歩いているみたい…。

たった今まで、恋人同士に見える自分たちの姿を想像してドキドキしていたけれど、これではきっと、親子か、よくて兄妹にしか思われないのではないか、と考えて、ラヴィはガッカリした。
彼に比べて、何て小さな足。
握られている手も薄くて小さくって、彼の大きな手に比べたら葉っぱみたいだ。
彼とパリを歩く楽しさがみるみるうちに萎んでしまって、ラヴィは、はふ、と溜息をついた。
早く大人になりたい。誰が何処からどう見ても、彼との関係が分かるように。
自信を持って堂々と彼の隣を歩けるように。

「どうしたん?疲れたんか?」
突然沈んだ様子になったラヴィの様子に気付いた彼が、長身を屈めて顔を覗き込んできたので、ラヴィは苦労して笑顔を作った。
「何でもないのです。早く新しいサンダルが欲しいなって考えてたのですわ」

サンダルが早く欲しいというのは嘘ではなかった。
使い古してしまった今の靴は、毎日きちんと手入れしていてお気に入りだけど、街を行く女の人たちの美しい靴に比べたら、何だか実用的すぎる気がした。それに少し子供っぽいかも。
「そうなん?店、すぐそこやで。今パリで一番流行のデザイナーの靴を扱ってるんやて。ラヴィの欲しいようなサンダルもきっとすぐ見つかるわ」
彼が上機嫌に笑って、少し歩く速度を早める。きっと、自分が昔住んでいた街でラヴィをエスコート出来るのが嬉しいのだろう。
(大人なのに、分かりやすくて子供みたいなのです)
ラヴィは思って、今度は心から笑顔を浮かべた。そして、よし。と心の中で拳を握る。

楽しまなきゃ損ですわよね。だってここはパリなんですもの。

悩むのはいつでも出来る。今は彼との時間に集中しよう。
ラヴィは手を引かれながら、目指す店へと思いを馳せた。


店の中は、まるでちょっとした貴族のサロンのような作りだった。
実際は貴族は既製の靴なんて買いに来ないので、純然たる庶民のための店なのだが、猫足のスツールや、お城か貴族の家の寝室にありそうな、優雅な装飾がされた商品棚など、女性の心をくすぐるような調度品ばかりが置かれている。
勿論肝心の靴だって、どれもこれも目移りしそうな美しさだ。
「どうや?ラヴィ。結構可愛いの多いやろ?」
上機嫌の彼が、隣でニコニコしながら尋ねてくるのに、ラヴィはこくこく頷いた。
最先端のデザインを扱っているという店。キャメロットにもこんな店はあるけれど、自分にはまだ早いと思って、足を踏み入れたことはなかった。

(もっと、おめかししてきたらよかったですわ…)
キラキラした店内の様子に圧倒される思いで、ラヴィは自分の着ている服を見下ろした。
白くてゆったりした、丈の長いワンピース。いつも着ている服よりフリルもレースも多くて、お気に入りの一着だ。でも、周りで靴を物色している女の人は、こんな服なんて着ていない。ウエストをぎゅっと絞って、女性らしさを強調したデザインばかり。きっとパリで流行しているのだろう。

隣にいた筈の彼は、いつのまにか広くもない店の中をぶらぶらしていた。
せっかくラヴィとデートやから、と今日は見慣れた濃緑色のマントではなく、腰丈の黒くて仕立ての良いジャケットを羽織っていて、いつもの腰の工具ベルトも外しているから、商家の若旦那のように見えなくもない。
何だか、いつもの彼と違って見えるのは、着ている物のせいだろうか。
それとも、異国に来ているから?

自分のような子供より、この店の中にいる女性たちの方が、余程彼にふさわしいのじゃないか。
何だか自信をなくしてしまって、ラヴィは気後れしながら店内を見回した。
早く目当ての靴を買って、この店から出て一息つきたかった。
白くてシンプルで歩きやすそうなサンダルは一体どこにあるんだろう。
どの靴も、本当にこんな靴で石畳の上を歩けるんだろうかと思うほど華奢で、繊細そうだ。
一通り店内を回っても、欲しい靴は見あたらず、ラヴィは肩を落とした。せっかく彼に連れてきてもらったのに。何か買わないと彼をガッカリさせてしまう。
もう一度、店の中を見てみようか。
そう考えたラヴィの肩を、誰かがちょんちょんとつついた。
「ラヴィー、これなんかどうや?きっと似合うと思うで」
振り向くと人なつこい笑顔。彼が一足のサンダルを手にニコニコ微笑んでいる。
ラヴィはいつも通りの笑顔にほっとして、「どれですか?」と彼の持つサンダルに視線を移し、大きな眼を瞬かせた。
彼の持っていたサンダルは、白い、という点だけはラヴィの求めている物と一致していたけれど、それ以外はラヴィが考えていたのと全然違う代物だった。
足の甲でクロスする細い二本の革紐には、たくさんの小さなガラス玉が縫い止められていて、革紐が交差する部分には、美しい白い花のコサージュがくっついている。
ヒールは折れてしまいそうなくらい細くて、まるで小枝のようだし、しかもビックリするくらい高い。
足を乗せる底の部分は、ラヴィの小さな足でもはみ出してしまうんじゃないかと心配になるほど華奢だ。
「え、と…」
自分が欲しかったサンダルとのギャップに戸惑って、ラヴィが言葉を返せないでいると、彼はラヴィを近くにあった、これまた華奢なスツールに座らせて、自分は側にしゃがみ込んだ。
「ほら、一回履いてみ?履くだけならタダやねんから」
無邪気に笑う彼に対して、一度も履かずに断るわけにもいかず、ラヴィは自分が履いている靴を脱いだ。そして、入らなかったらどうしようと心配しながら、そーっと自分の足を、床に置いたサンダルに差し入れた。

こんなサンダル、似合うわけないのです…。

何だか足下を直視できなくて、ラヴィは涙が出そうな気持ちになった。子供のくせにこんな似合わないサンダルを履くなんてと、皆に無言で笑われている気がしてしまう。
何より、彼に見立て違いだったとガッカリされるのが怖かった。
両足にサンダルを履き終わると、彼がスツールから立ち上がらせようとしたので、慌てて彼の腕を掴む手に力を込める。高いヒールのせいで爪先に体重がかかり、上手く立つのも難しい。
「あ、あの、ジルベールさま、もう…」
「お、ラヴィ。すごい似合ってるで。ほら、鏡見てみ?」
「え?」
促されるままに姿見の前まで移動して、ラヴィは恐る恐る、丈の長いワンピースの裾を上に引っ張り、サンダルを履いた自分の足を鏡に映してみた。
まるでパティシエが丹誠込めて作った砂糖菓子のように華奢で美しいサンダルから、自分の脚がまっすぐ伸びている、
ラヴィは目をぱちぱちさせ、今度は横を向いてみた。
細くて高いヒールの上に乗っかった、きゅっと細い足首。
身を屈めて足の甲を覗いてみると、日に焼けていない白い肌の上にキラキラと小さなガラスが輝いていて、繊細な白い花が一つ咲いている。
「どうや?ラヴィ。俺の選択眼もなかなかのもんやろ?」隣に立って、肩を抱く彼に「はぁ…」とぼんやり返事を返しながら、ラヴィは鏡の中の自分と、横に並んだ彼の姿を見つめていた。
「あの、ラヴィ、いつもより背が高くなったみたいなのです…」
「それはそうやろ。だって、こんな高いヒール履いてるんやから」
言われて彼の方を振り向くと、いつもよりずっと近い場所に彼の薄青い目があってビックリする。
そうして、もう一度鏡に映った自分を見てみた。
いつもより背が高い。たくし上げた裾から覗く足首もそれより上も、まるで太陽神の踊り子みたいに大人っぽく引き締まっていて、まるで自分の脚じゃないみたいだ。

「お嬢様、とてもよくお似合いですよ。まるでその靴を履いてお生まれになったみたいです。それにずっと大人っぽく見えますわ」
いつの間にか側にいた店員が微笑んで、ゲルマン語で褒めてくれる。難しい言い回しは聞き取れなかったけれど、褒められているのだけは分かる。
「…気に入ったか?」
「…はい」
思わず返事をして、ラヴィは頬を赤くした。
「で、でもこんな大人っぽい靴、ラヴィが履いたらおかしくないでしょうか…」
「全然。あ、もしかして、今までこんなヒールのある靴履いたことないんか?」
さっきからのラヴィの挙動不審に合点がいったような彼に、さっきの店員が何やらゲルマン語で話しかけた。
「あの、何ておっしゃってるのですか?」
「ん?ああ。可愛い恋人ですね、って。そーやろ?って言うといたで」
その横で、店員がラヴィにも分かるように、ゆっくり話す。
「お嬢様、誂えたようにピッタリな靴とはなかなか出会えないものですわ。そのサンダルとお嬢様は、こちらの男の方とお嬢様みたいに運命で結ばれているのです」


商売上手な店員に乗せられている気がしないでもなかったが、数刻後、ラヴィの手には麻の上品な袋に入れられたさっきのサンダルがあった。
欲しかったサンダルとは全然違うけれど、もしかしたら履く機会もないかもしれないけれど、自分が少し大人に近づいた気がして、ラヴィの胸は高鳴った。
「あの、サンダル…買って頂いて有難う御座います、ジルベールさま。でもラヴィ、自分のお金で買いましたのに」
「ん?ああ、これくらい俺に買わせてや。いつもご飯作ってくれるお礼や。そのサンダル、すごい似合ってたで」
大きな手で頭を撫でられて、ラヴィははにかんで俯く。

やっぱり、今日が今までのパリの中で一番素敵ですわ。

繋いだ手に思わず力を込めると、彼が嬉しそうに目を細めた。
「ジルベールさま、次はケーキを食べに行きませんか?この前おっしゃっていた、宝箱みたいなケーキ、ラヴィ、見てみたいです」
「ん、そんじゃ行こか。ここはパリやもん、楽しまな損やもんな」
まだまだ、やりたいことがたくさんあった。
パリでのデートは始まったばかりだ。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

はい、これで終わりです。お読みになった方、長々すみません。
そして勝手にラヴィさん視点で、へたくそな文章を書いてすみません、ラヴィPLのゆきうさぎ様。

いやね、エツオは現在冒険中のキャメの大規模連動依頼に出られないのが辛くて、同時期のパリの依頼に出張中なのです。
でも、危険なキャメにラヴィさんを置いていくのもイヤで、パリについて来てもらっているのです。
いや、私の脳内で(脳内かよ)。
そんで、依頼が終わったらきっとパリでデートだよなーと思って、こんなものを。

女性の方は、初めてメイクした時とか、初めてヒールの高い靴を履いた時って、結構ときめいた経験があるんじゃないかと思うんですよねー。自分がいきなり大人っぽく見えたりして。
普段、早く大人になりたがっているラヴィさんに、あなたは自分が思っているより大人なんだよーという気持ちを込めてみました。

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素敵… 

なんだか、ラヴィの気持ちになったり、PLとしてツッコミを入れたりと、読んでいて忙しかったですけれど、とっても素敵なお話ありがとうございました(感涙)
ラヴィは自分に自信のない子なので、綺麗に着飾ったりする事に気後れしてしまっているのですよね…そこをしっかり汲み取って頂いてありがとうございます…
しかし第三者の目線で見ると、一人で赤くなったり落ち込んだり決意したりほんわりしたり、と忙しい子です。顔に出るタイプなので、隣にいるジルさまは、面白いようなハラハラするような心境でしょう…ごめんなさい…;;
自分以外の方に書いて頂くと、自分ではハッキリと見えてなかった輪郭みたいなものが、すごくよく分かって、一つラヴィの事が分かった気持ちです♪
高校生の時、初めて都会に買い物に行った気持ちを思い出しました。自分が田舎モンだという事を改めて実感したまででしたが…(ひゅるる~)

…ところで宿はどこなんでしょうか…
またジルさま、寝返り打ち通しですか?(想像して微笑ましくなりました^^)
あの…ところで、この続きって書いてもいいでしょうか…

2009/06/16 00:59 | ゆきうさぎ [ 編集 ]


勝手に書いてすみませんー 

ゆきうさぎさんが書かれるジルベールは、PLから見ても、自分が書いたんじゃないかというくらい本人!って感じなのですが、私が書くラヴィさんといったら…。
それでも温かいコメントを有難う御座います~。
こんなんラヴィじゃないやい!と思ってませんか~大丈夫ですか~。
でも、少女漫画を描いているみたいで、とっても楽しく書かせて頂きました。
ラヴィさんという女の子は、13歳というお年頃のためか、ドキッとするくらい大人の女性みたいだったり、よしよしってしてあげたくなるくらい、小さな子みたいだったり、色々な顔を持っていますよね。
その印象が、今回のテキストの忙しさ(?)に反映されてしまったみたいです…。
ちなみに私は今でも、デパートに行くといつも「もっとキレイなカッコしてきたらよかった…」と後悔します…。

結局、宿はどうしたんでしょうねえ…パリらしい瀟洒な宿だといいな♪
続き、是非ともお願いします!!
二人のデート パリ篇ですね^^
書いて頂けるのを楽しみにしていますね~。

2009/06/16 01:38 | 天神橋 [ 編集 ]


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