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2009/02/07 (Sat) 神様

本日から、当ブログのカテゴリに「妄想」を追加しました。
このカテゴリは、自PCを使った(たまに人様のPCも…)二次創作みたいなもんばかりを入れておこうと思います。

間違って読んだ人は、うっかり日にちを間違って、仮プレで出発する呪いがかかりますyo

以下、妄想本文は追記で。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

王都であるキャメロットには、白の大聖堂がある。

そこに、ジルベールの小さな恋人は毎朝通い、慈愛の神に祈りを捧げているらしい。
らしい、というのは、彼がその姿を見ることが出来るほど早起きではなく、随分日が高くなった頃に、教会帰りの恋人に庭先から呼ばれて起きるのが常だったから。

ハーフエルフの13歳の恋人は、まだ寝台の上に起きあがっただけのジルベールに、甲斐甲斐しく朝食を作ってくれる。
今朝教会で見たこと、聞いたことを、それは楽しげに話しながら。
ジルベールはそんな彼女を見るのが好きだったから、彼女の話にも熱心に耳を傾けた。
慈愛神セーラがどんなに慈悲深いか、どれほど多くの人々が、日夜教会を訪れて救済されていることか、セーラ神の教えの元、自分たちがどれだけの恵みを得ているのか。

けれど、一度だけ、彼女が教会や神のことを、一言も口にしない日があった。
いつもキラキラとしていてよく動く大きな眼が静かに伏せられ、卵を焼いている間も無口に沈み込んでいる。
朝食というには遅い食卓で向かい合い、何か心配事でもあるのか、体調でも優れないのかと尋ねると、彼女ははっとしたように顔を上げて、「何でもありませんわ」と少し大人びた顔で微笑んだ。

彼女がそういう風に笑うときは、いつでも何か悲しみや寂しさを押し隠しているときだ。
そんな時の彼女は、何を言っても心の底に蓋をして、決してジルベールの前で開けたりしない。
どんなに言葉を尽くしても、この小さくてあどけない子供の何処にそんな強い意志が隠れているのかと思うほど、-それは殆ど頑固といってもいいほどに-その底にある気持ちを隠してしまう。
せめてもと澄んだ美しいオッドアイを覗き込んでも、そこには透明な意志があるだけだ。
だから、ジルベールは自分の手を伸ばして、彼女のふわふわと柔らかい髪を撫でるくらいしか出来ない。
いつも。

聖堂に行こう。
ある朝珍しく、朝露が残る時間に目が覚めて、寝台の上で思ったことはそれだった。
パリに家族と住んでいた頃は、週末ごとに何となく教会に通っていたが、キャメロットの冒険者街に居を構えてからは、通り過ぎることはあっても中に入ったことはない、白の大聖堂。

もしかしたら、まだ彼女はあそこに居るかもしれない。
彼女がここ数日、思い詰めているらしい事が何なのか。
あの白い建物に、その答えがある気がして、ジルベールはそそくさと着替え、外套を羽織って足早に家を出た。

間近に見る白の大聖堂は、冬の朝の清潔な光を映し、まるで天国そのもののようだ。
街の何処に居ても目にすることの出来る、高い位置のステンドグラス。
空に響けとばかりに鳴り渡る鐘の音。
この街の、そしてこの国の信仰の深さをまざまざと見せつけられるようだと思う。

既に朝のミサは終わったらしい。大聖堂の中はガランとしており、天井傍の色とりどりのガラスから零れる朝の陽光が、その広い空間を所々照らしている。
ジルベールが中に歩を進めると、履いているブーツの踵が驚く程大きな音を立てた。
礼拝堂の中心に辿り着くと、彼はぐるりと周囲を見渡した。
もう、彼女は帰ってしまっただろうか。
もしや自分の居ない家の庭先で、途方に暮れた顔をしているのではないかと想像し、やはり帰ろうと踵を返しかけたとき、ふと「刻名の間」の文字が目に飛び込んだ。

刻名の間。
同種族の男女が、セーラ神に祝福を受けた証を刻む部屋。
部屋に入ったジルベールの目の前には、長い歴史の積み重ねの中、ここで誓いを交わし合った多くの人たちの名があった。
共に歩む人生が、幸福でありますように。
そんな美しい願いが、刻名へと姿を変えて、荘厳といってもいいような雰囲気を生み出している。
ああ、ここは純粋な祈りの空間だ、と圧倒されるような思いで、ジルベールは人々の名を見つめた。
しばらく立ち尽くしていると、優しげな面差しの神官が近づいてきた。
「刻名をご希望ですか?」
聞かれて、一瞬、何と答えるべきか、と思う。

そうだ、自分はあの少女とここには名を刻めない。
彼女はハーフエルフで、自分は人間だ。

「いや…結婚はまだやから」神官に向かって曖昧に笑い、ふと思いついて聞いてみる。
「最近、この部屋で女の子のクレリックを見かけませんでした?」
首を傾げる神官に、「えーと、白くて長い髪の毛で、鳶色とピンクのオッドアイの…」と言い募ると、神官はああ、という風に微笑んだ。
「彼女は毎日礼拝に来ていますよ。つい最近、ここでも見かけましたね」
一礼して去っていく神官に「どうもおおきに」と声を掛けながら、ジルベールは鉛を飲んだような気分になった。

普段は殆ど忘れていた。
自分たちが異種族同士だなんて。
しかし、こんなときに思い知らされる。この恋は神に認められないのだと。

何故、自分はハーフエルフではないのだろう。
ハーフエルフなら、彼女の傍にずっと居てやることができる。
長い長い、彼女の人生の終わりまで。
けれど自分は急速に年を取り、彼女を残して老いさらばえ、無責任に死んでいくだろう。
きっとその時は、彼女にとってはあっという間に訪れるに違いない。
今でさえ、彼女を寂しがらせて不安な目をさせているというのに、最後の最後まで彼女を悲しませるのだ。自分は。
そしてきっと、今も悲しませている。

自分は神を捨てて生きられる。
今までだって、周囲に比べればいい加減な宗教観で生きてきたし。
キエフの黒の教会で刻名することだって、何とも思わない。
黒も白も、同じ神の裏表に過ぎないと思う。
しかし彼女は敬虔な白のクレリックだ。

自分は神を捨てて生きられる。
けど、そしたらこの気持ちは誰に祈ればエエんやろ。

あの子がずっと幸せで、笑っていられますように。
俺が居なくなった後も泣き暮らしたりしませんように。
どうか。
それが叶うのなら、白でも黒でもいい。神様、アンタのしもべになってもエエ。
けれど、最後の息を吐ききる瞬間まで、あの子を手離すことだけはしないと決めている。
だから、神様にあの子はあげられへん。
何て罪深いんやろ、俺は。

自分の強欲さに笑って、ジルベールは白い天国みたいな教会を後にした。
一刻も早く、家に帰って、彼女の顔を見て、抱きしめたかった。
神様と張り合うなんて無謀やな。天国は俺から遠ざかるばっかりや。
それでもいい。
あの子が居れば、それでいい。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

えー、色々ねつ造していますが。
とりあえず刻名の間とかないですよねー。分かります。

邪念だらけのエツオですが、こんな気持ちもあるの…ですかね。
多分あります。きっとあります。

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